「本当に必要なバリアフリー」の話

[ ブログ ] 2026.04.28

自分自身が50代半ばに差し掛かり、肩の痛みや階段の上り下りに「おや?」と感じる年齢になって、ようやく見えてきたものがあります。

今回は、図面上の数字だけでは測れない、「20年後の自分を助ける設計」についてお話しします。


1. 段差をなくすだけが「バリアフリー」ではない

バリアフリーと聞くと、多くの人は「段差解消」や「手すり」を思い浮かべます。もちろんそれも大事ですが、50代からの家づくりで本当に考えたいのは「温度のバリアフリー」です。

  • ヒートショックを防ぐ断熱性能暖かいリビングから一歩出た廊下やトイレが凍えるように寒い。これが高齢者の体にどれほど負担をかけるか。50代になった今、私は自分の現場で断熱材の隙間にこれまで以上に目を光らせています。
  • 「視覚」のバリアフリー:年齢を重ねると、夜間の足元が想像以上に見えにくくなります。廊下の低い位置にフットライトを設ける、スイッチの場所を少し低く、大きくする。そんな小さな配慮が、10年後の転倒事故を防ぎます。

2. 「子供部屋」のその後を想像したことがありますか?

家づくりの主役は、往々にしてお子様になりがちです。しかし、現場監督として多くの「築20年の家」を見てきて思うのは、子供部屋が物置になっているケースが非常に多いということです。

  • 可変性のある間取り:将来的に2部屋を1部屋につなげて、自分の趣味部屋やセカンドリビングにできるか。
  • 「1階完結型」の検討:もし敷地に余裕があるなら、あるいはリフォームを想定するなら、将来は1階だけで生活が完結できるような動線を確保しておくこと。階段の上り下りが辛くなった時、この設計が「この家に住み続けられるかどうか」の分かれ道になります。

3. 「かっこよさ」よりも「掃除のしやすさ」

50代半ばの私にとって、休日の大掃除は年々重労働になっています(笑)。

  • メンテナンスフリーな素材選び:高い位置にある窓や、複雑な形の照明器具。新築時は素敵ですが、10年後、誰がそこを掃除するのでしょうか。
  • 「腰」に優しい設備:例えば、キッチンの高さや収納の引き出しの重さ。毎日繰り返す動作だからこそ、体に負担をかけない「使い勝手の良さ」こそが、真の意味でのデザインだと私は思います。

最後に:家は「戦友」のようなもの

30代で建てた家は、いわば人生を共に戦う「戦友」です。

若いうちは多少の不便も体力でカバーできますが、家も自分も等しく歳をとります。

私が現場で釘一本の打ち方にこだわるのは、お客様が20年後、30年後、体力が落ちた時でも「この家は自分に優しいな」と感じていただきたいからです。

家づくりは、未来の自分へのプレゼント。

50代の私が現場で感じているこの「実感」が、皆様の家づくりのヒントになれば幸いです。


BY Platinum

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